9月のおもと-1-

9月の声をきくと、朝夕は涼しさを感ずる気候になります。
オモトは休眠からさめて、春ほどではありませんが、秋根が新しく出ます。
首もとは乾かさないように、水コケを当てて上手にのばしてやることが、来年の成長に影響してきます。

また、9月は台風の季節になります。オモトを風雨にさらすことは、葉いたみ、根いたみの原因になりますから、棚下や室内に入れましょう。

秋の彼岸をすぎると、関東地方以西では、植え替えの時期になります。10月いっばいまでは可能です。秋の植え替えはすべての株に行いましょう。

来春、芋を切る必要がない若木は、植え替える必要がありませんので、目印をつけておくとよいでしょう。
秋は観賞の季節でもあります。展示会に出品するものは、化粧鉢に植えておきましょう。

鉢植えの管理・作業

─置き場─

<作柵の場合> <温室の場合>

中旬までは、残暑も厳しいので7、8月と同じ管理にします。台風の対策を忘れないようにしてください。
暑さがやわらいだら、日よけは1枚だけで大丈夫でしょう。午前8〜9時から日が沈むまで日よけを行います。

彼岸のころになると、しだいに涼しくなりますので、午前中(6〜10時ころ)の3〜4時間は、日よけをしないで直射光に当ててやりましょう。それ以後の時間は、よしずや遮光用ネット(1210番)などを1枚かけて日よけをしておきます。

雨に当ててはいけません。
夜は雨よけを忘れないようにしてください、

─水やり─

上〜中旬までは、まだ残暑も厳しいので、晴天の日は毎朝涼しいうちに抜き水を行います。日中の高温時の乾燥には軽いバラ水を行いますが、鉢内が過湿になあないよう注意します。夕方には鉢内の乾燥も激しく、気温も高いので、もう1回抜き水を行います。夕方の抜き水は葉水を兼ねて葉上から行います。

中〜下旬、朝夕が涼しくなってきたら、晴天や曇天の日は毎朝、葉に水がかからないように抜き水を行います。日中は上ゴケが乾いたら、菓にかからないように、バラ水を行います。夕方の抜き水は不要です。雨天の日は水やりは行いません。

軽石植えの場合は2日に1回、赤玉土の場合は3日から4日に1回の目安で抜き水を行い、乾いたらバラ水を行います。

─肥料─

最高気温が28℃以下の日が多くなる中旬以降になったら、施肥を開始します。しかし、
植え替えたものにはアク水以外は不要です。

【玉肥の場合】寒肥と同じ程度の量を1回旋します。

【水肥の場合】晴天の涼しい早朝、抜き水を行った直後に、60倍ぐらいに薄めたものを月に7、8回をめやすに施します。

【アク水】アク水を抜き水がわりに、30倍液を月8回ぐらい施します。

植え替え

一般に春秋の彼岸すぎが植え替えの適期といわれています。この時期は休眠状態もあけて、根が活動しやすい気候になり、成長もみられるときです。すべての株を毎年必ず植え替えます。春に植え替えたものも行います。

秋、早めに植え替えますと、新根を下ろしやすくなりますが、下葉も落ちやすくなり、形を悪くすることがありますから適期に行います。植え替えと同時に株分けができます。

【適期】北海道、東北地方の涼しい地域では中旬から始められます。関東地方以西では、彼岸すぎから10月いっぱいが植え替えの適期です。

【目的】葉と根が多くなって、鉢が小さくなってきたり、玉肥のかすや、水アカで用土が汚れ、水まわりが悪くなっているので、植え替えて健全な成長をさせることが目的です。

【用具】筆、はし、ピンセット、用土入れ(コテ)ラベルなどが要です。

【用土】排水と保水のすぐれたものであればどのようなものでもいいが、一般には次のようなものが用いられています。
朝明砂(あさけずな)、軽石(日向砂)、クレーボール、富士砂、赤玉上などを単用で使用。またクレーボールと富士砂、朝明砂とクレーボール、朝明砂と軽石などを混合して使用。
用土は大きさを分けて凧います。
その他に水コケ、木炭(桑炭または消し炭)などを用意します。木炭は保水のために混合します。自分の栽培・管理にあったものを用いればよいのです。赤玉土は水コケ、木炭は不要です。

【用いる鉢の大きさ】植えつける株の姿と鉢のバランスを考えて、つりあいのとれたものに植えつけます。株を大きくしたいときには、大きめの鉢を用いますが、一般的には株をしめてつくりたいので比較的小鉢を用います。

めやすとしては、春に植え替えたものは、植わっていた鉢と同じ大きさ、春に植え替えていないものは、多少大きめのものを用います。また、胴上や栽培環境、手入れの時間などを考えて決めるとよいでしょう。

【植えつけ方】株を鉢から抜き、葉と芋をきれいに筆で洗います。洗った株は湿らせた水コケで根を軽く包んで日陰におきます。しばらくすると根の水分が少しぬけて、やわらかくなります。こうなると植えやすいので、作業を始めます。


9月のおもと【繁殖】編へつづく


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※本稿は、(有)三光園社長、榊原八朗様のご厚意で、
氏の著作「NHK趣味の園芸・作業12か月/オモト」(日本放送出版協会)を
もとに作成しております。