おもと実生の基礎知識

** 実生の実践(1) **

大宝×大車

 交配の例として、この大宝、大車に花が咲いて来たとしましょう。
 おもとの花はツクシのような形をしていて、20〜30個ぐらいの小さな花が付いています。5月初旬から中旬に青い花が出て来ます。そして、気温の上昇と共に上から順に黄色に色付いて開花が始まります。

交配のタイミング

 この小さな花の雌しべに粘液が出てくると、いよいよ交配が可能となりますが、粘液が出ていない花はまだ受精準備が整っていないため花粉を付けても受精はしません。このため、雌しべに粘液が出ているかどうかを確認して交配を行っていきます。

交配

 大宝の雄しべの花粉を一つピンセットで取り、大車の雌しべに花粉を付けてやる。またこの逆で、大車の雄しべを取り大宝の雌しべに花粉をつけて交配する。
 こうした単純だが重要な作業を繰り返して、確実に狙いの実親同士で交配するわけです。

(ボールペンの軸を抜いたものに、ツマヨウジを差し込み、雌しべを付けてやるとやりやすい)

受精

 交配が終わっても安心はできません。翌日の確認が大切です。

 花粉をしっかり付けたつもりでも、雌しべに粘液が出ておれば未受精ですから再度交配を繰り返します。

 交配が終わると、雄にした実親の名前と交配した日をラベルに書いて鉢に差します。※例──大車×大宝・99年5月22日、大宝×大車・99年5月28日

 先に書いた名前が雌の実親で、後が雄しべの花粉を付けた雄用の実親の名前です。数が多くなると、交配した雄しべの花粉の実親の名前がわからなくなりますから、面倒なようでもこのラベルは忘れず付けるようにしましょう。

 これは、種を蒔き生えたおもとの実親の優劣を確認するためにも大切な作業になります。


 また、血統が重要ですから、今後、生えた実生をF1として実親に使った時どのような交配だったのか確認もできます。


 おもと界は、生えた実生の実親の名前を特に重要視しています。

赤い実

 11月頃、おもとの実が大きく膨らみ赤く色付いてきますが、12月に入ってから実の根元から切り取り、そのまま紙袋に入れて保存します。


 種は低温に1カ月以上当てないと発芽してきません。ですから温度が高い室内では保存しないよう注意して下さい。

[つづく]

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