先ほど除粉した花房全体に霧吹きで水をかけています。 「これは、水ではないんですよ、糖水です、この糖水が蜜の役目をしてくれます、 雌しべの先端に粘液がほとんど出ていなくても、糖水をかけることによって、まだ出ていない粘液を誘導させるようです。 この糖水は、ブドウ糖か、ショウ糖を100ccに5〜10ccに薄めて使っています。ボ―ルペンを湿らすコップにも糖水がはいっているんですよ。 「蜂蜜は使えません。蜂蜜は異種花の蜜や花粉を集めていますから、これをかけると、雌しべが異変を感じて花粉管を伸ばさない作用が起き、受精しません」 |
「黄色くなった花の上から下に数えて、3段か4段目ぐらいに粘液が出てきたときが交配の一番良いタイミングです、このときにこの糖水を花房全体にかけて下さい。しばらくして、雌しべの先端部分だけが湿っているタイミングを逃がさないようにして、ボ―ルペンの先に粉にしておいた花粉を付けてチョン、チョンと雌しべに付けていきます」 「忘れておりましたが、糖水をかける前にマジックで花房に縦に線を入れておきますと、この線が見えたときが交配の終わりで、ととても分かりやすいんです」 「冷蔵庫から出した花粉は水だけのものに付けると花粉が水を吸い過ぎて、膨圧のため破裂してしまいます、でも、この糖水だと破裂しないんですよ」 |
蜂蜜とか、糖水、膨圧など学術的な勉強もされている。この方法だと、一回の交配で終了するそうです、秋に鈴のように実が付いていますから受精はほとんど完璧に行われていることがわかります。 交配が終わると、雄しべの品名をラベルに書き込み鉢に差しておきます。 そして、肥料を乗せ、白い袋をかぶせて交配は終わりました。この作業を毎日深夜まで、約二週間続けるそうで『好きこそ物の上手なれ』なんてことわざもありますが、会長の情熱、パワ―は並の人間とはチョイと違うようで、あの狸腹が証明しています。 |